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ニュートリノとは?梶田隆章さん(ノーベル賞受賞)のチームがスーパーカミオカンデで観測。調べてみました。 [ニュース]

ノーベル賞受賞の梶田隆章(東京大宇宙線研究所長)さんのチームが、
スーパーカミオカンデでの観測でニュートリノに質量があることを実証しました。
そこには、オールジャパンの技術がありました。
ニュートリノとスーパーカミオカンデの事を調べてみました。

*ニュートリノとは?



素粒子の一つ。
素粒子とは物質を構成する最小の単位のことです。
(ここでは陽子や電子を構成している物質を指します)

ニュートリノは、素粒子の内ではレプトンの分類で分類しています。
(他の分類には、クオーク、ボソンが有ります)

レプトンの内で電荷を持たない物をニュートリノと呼んでいます。
電気的に中性なので、中性粒子とも書きます。

強い相互作用をしません。(=他の物質に影響を与えにくい)
宇宙の至る所にあると考えられています。

宇宙を進みますが、あまりにも小さく他に干渉しませんので、
地球そのものもすり抜けます。

*種類は、大きく3種類あります。

・電子ニュートリノ(Ve)
・ミューニュートリノ(Vμ)
・タウニュートリノ(Vτ)

の3種類です。

3種類ですが、それぞれの反粒子をあわせた6種類あると考えられています。

このニュートリノですが、人工的に作り出す事が出来ます。
日本でも、作り出すことに成功しています。

2010年2月に、日本でも人工ニュートリノ発生実験が行われました。
東海村の大強度陽子加速器施設「J-PARC」から、
飛騨市の検出器「スーパーカミオカンデ」に向けてニュートリノを発射。
24日午前6時、スーパーカミオカンデ側で検出が確認されています。

ニュートリノの発生実験.jpg
図の引用元はこちらです。

*ニュートリノの観測方法



「他に影響を与えない」とい所がネックで、詳しい観測が非常に難しいです。
通常なら、観測対象物質に原子核や電子をぶつけて、
衝撃の反応などを計測して物質の内部構造を調べます。

この手段がニュートリノでは使えません。

ではどうやって観測するのか?

極まれにしか、他の物資に反応しないので、
高感度センサーと大質量の反応物質を用意する必要があります。

その施設が日本にありました。
それが、スーパーカミオカンデと呼ばれている施設です。

ニュートリノの反応物質ですがそれは大量の超純水(50,000トン)です。
その超純水を蓄えた水槽の内側に、光電子増倍管が11,200本も設置されています。
この装置で、水槽に飛び込んできたニュートリノの光跡を捉えます。

ちなみに、この光跡の事を「チェレンコフ放射」と呼んでいます。

ノーベル物理学賞を受賞した梶田隆章さんは、このスーパーカミオカンデを管理している東京大宇宙線研究所の所長です。

このスーパーカミオカンデでの観測により、ニュートリノに質量があることが解りました。
1998年のことでした。

スーパーカミオカンデの光電管.jpg
・スーパーカミオカンデの光電子増倍管の設置状況
http://www.atmarkit.co.jp/news/200701/12/kamiokande.htmlより引用

*チェレンコフ放射とは?
ニュートリノは、光速に近いスピードで移動しています。
それが水に飛び込むと減速します。
減速した時に、減速した分のエネルギーが光として発生します。
この光のことをチェレンコフ放射と呼びます。
淡い青白い色を発光します。



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*スーパーカミオカンデ



スーパーカミオカンデは、東京大学宇宙線研究所により、
岐阜県飛騨市神岡町(旧吉城郡)神岡鉱山の跡地内に建設されました。
ニュートリノ検出装置の全体の事を指しています。

装置ですが神岡鉱山内、池の山地下1000メートルの場所に設置されています。
この場所が選ばれたのは、豊富な地下水、強固な岩盤、
そして1000メートルの土かぶりがあることからここが選ばれました。

地下1000メートルまでもぐることにより、
観測の邪魔になる宇宙線が地上の約10万分の1にまで軽減されます。


スーパーカミオカンデ検出器は、
鉱山の入口からほぼ水平に1.7キロメートル進んだところにあります。

また、鉱山の入口から車で約15分ほどの東茂住という山あいの集落に、
東京大学宇宙線研究所附属神岡宇宙素粒子研究施設の研究棟や共同利用宿舎などがあります。

山奥なので、研究者もここで寝泊まりして暮らしています。
つくづく、すごい場所に作ったと思いいます。

施設の住所:〒506-1205 岐阜県飛騨市神岡町東茂住456

*現在、研究施設の見学はしていないそうです。残念!!


その地下に50,000トンの超純水を蓄えた直径40m、深さ41.4mのタンクが設置されています。


*オールジャパン



スーパーカミオカンデを構成している部品の内、
一番重要なのは次の3つです。

1.光電子増倍管
2.超純水
3.タンク


1.光電子増倍管
光電子増倍管は、超純水とニュートリノが反応している
証拠のチェレンコフ放射を観測します。

浜松ホトニクス(静岡県浜松市)が作製しています。

この光電子増倍管の性能ですが、月面から地球(約38万km)に
向けた懐中電灯の光をキャッチ出来るそうです。

2.超純水
オルガノ社(東京都・江東区)が作製します。
オルガノ社は、水の純度にこだわり続けている会社です。

超純水とは?

不純物を徹底的に取り除いた水のことを指します。

この水の超純水度具合ですが例えていうと、
東京ドームいっぱいの水に対して、角砂糖1個の不純物だそうです。
グランドにある角砂糖分の不純物ですが、想像付きません。(^_^)

この純水ですが、半導体の洗浄に使われています。
本当に、超純水で半導体の基板を洗います。
不純物が混ざっていないので、基板にかけても問題無いそうです。

スーパーカミオカンデでは製造プラントが
スーパーカミオカンデの施設内に設置されています。
この超純水を神岡鉱山内で作っています。

そして、スーパーカミオカンデをいっぱいにするのに、2ヶ月間掛かるそうですよ!

メンテナンスで水を抜くのですが、これ貯めるのも抜くのも大変ですね。

3.タンク
タンクは三井造船が作りました。
造船技術が活かされています。

このタンクですが、大きさがハンパなく大きいです。
11階建てのビルがすっぽり入る大きさです。
そしてオールステンレス製です。
腐食と水の重み(5万トン)に耐えられる事が重要です。

ステンレスは、溶接が難しいと聞いています。
地下で水漏れ起こすと取り返しがつきません。
気密性が重要ですので、この溶接技術が高くないとダメなことが解ります。

造船技術があったからこの巨大水槽を作る事が出来たのでした。


*巨大光電子増倍管製作秘話



浜松ホトニクス社ですが、1979年にこの光電子増倍管の8インチの
サイズ(直径約20cm)作製の研究に着手していました。

そこに、小柴昌俊東京大学名誉教授から20インチ(50cm)の
光電子増倍管の作製を依頼されます。

8インチの研究作製に取りかかったばかりです。
20インチなどは考えつかないはずです。
小柴昌俊教授に訳を聞きます。
「アメリカに負けたくない」
と返事か有りました。


当時(1980年初頭)、ニュートリノの最新研究はアメリカでした。
アメリカは豊富な資金でニュートリノ観測装置を作りました。
その装置には、光電子増倍管がタンクの壁一面に、びっしりと埋め込まれていました。
カミオカンデ(スーパーカミオカンデの前進の装置)を作ろうと思い立った
小柴昌俊教授ですが、アメリカほどの規模の装置を資金面から作れませんでした。
でも、アメリカに負けたくない!と思います。

資金がないので量を作れません。
量より質で勝負することにします。
なので、より高性能な光電子増倍管を浜松ホトニクス社に求めました。

小柴昌俊教授ですが、
「税金で装置(カミオカンデ)を作ります。
なので、日本の企業が製造した物で実験したかった」
と言います。

当時の社長(晝馬輝夫・てるま)がその話に共感します。
この光電子増倍管の作製は赤字が考えられました。
ですが、無茶は承知で開発に協力しました。

8インチを作ろうとしていたのですが、
1年の開発機関で20インチの光電子増倍管の作製に成功したそうです。

この技術が現在のスマートホンの多機能センサーや人工衛星のセンサー、非破壊センサー、超高感度ガンマーカメラ、ガンの早期発見装置などにいかされています。

光電子増倍管.jpg
・スーパーカミオカンデで使われている光電子増倍管
引用元はこちらです。


*まとめ



ニュートリノの研究が、我々の生活に巡る巡って役立っています。
これも、小柴昌俊教授のオールジャパンで実験したい!
という想いから来ていることが分かります。
物作り日本の真骨頂だと思いました。m(__)m


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